WELLNESS INVESTMENT CLUBのTOSHIです。
皆さんは、体と心の健全化のために最も重要なことは何であるとお考えであろうか?
お金?
健康?
人間関係?
生きがい?
仕事?
はたまた運動?
どれもすべからず、大事な要素ではあると思う。
これについて、NASA(アメリカ航空宇宙局)が結論付けたのが、
「血糖値のコントロール」
だという。
宇宙空間で働く宇宙飛行士のメンタルや注意力、学習能力、判断能力、コミュニケーション能力などのパフォーマンスに血糖値が強い影響を与えていることを明らかにしたのである。
そして、その後、数々の米国の企業にも、従業員の健康管理の大きな柱として、「血糖値コントロール」を取り入れる動きが現れたのだという。
今や、できるビジネスパーソンにおいて、「血糖値コントロール」は常識となりつつあるのである。
3分で世界の見え方が変わる。
「食」は健康への入り口であり、自分への投資である。
その食に対する認識が変わるだけで、自分をノーリスク・ハイリターンな安定、安心、超優良な投資先へと変貌を遂げることが可能なのである。
それでは、本日のthree minutes investmentはこちら。
ジェシー・インチャウスぺの『人生が変わる 血糖値コントロール大全』である。
血糖値を制するものは、人生を制する
まず、この本の結論を先に言ってしまおう。
もはや、タイトルにある通りである。
1.血糖値のコントロールの手綱を握り、自分の人生をより有意義なものにする
2.血糖値をコントロールするためにはテクニックが必要である。
この2点である。
あなたは自分の体のことをどれだけ分かっているだろうか?
実は分かった気でいるだけで、多くの人は自分の体のことを全然知らないのである。
ほとんどの人にとって、自分の体とは「ブラックボックス」なのである。
体の機能を知っていても、どう作用してるのか、正確には理解していない。
口に入れたものはすべて反応を引き起こし、体内の30兆個の細胞や30兆個の細菌に影響を与え、体と心に何らかの影響を及ぼすが、それについて、あなたはどれくらい理解しているだろうか?
実は、体はいつも私たちに様々なメッセージを送ってくれているという。
そのメッセージを聞き取る術としてあるのが、「血糖値」、すなわち、血液内のグルコース(ブドウ糖)の量なのである。
近年、この血糖値をリアルタイムに可視化することで、1日の血糖値の動きを把握できるようになり、そして、何を食べるか、どのように食べるかによって、いつ、血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)が起こるのかがわかってきたのである。
そして、血糖値スパイクは、気分や睡眠、体重、肌の状態、免疫システムの働き、心臓病のリスク、受胎率まで、ありとあらゆることに影響することが研究で判明してきているという。
糖尿病じゃないから関係ないって?
グルコースとは体の主なエネルギー源であり、あらゆる人に影響を与えている分子なのである。
本書は、この体からのメッセージである血糖値に耳をすませ、血糖値の上がり下がりの曲線をできるだけ平坦にする術を学ぶことで、活力が溢れ、健康で素晴らしい日々を送ろうという提案なのである。
筆者は、医療技術の最先端で働きたいと思って入った会社で新しいプロジェクトに参加する機会を得たという。
そこで出会ったのが、「持続血糖測定器(CGM)」である。
簡単な原理としては、センサーの針を皮下組織に刺し(痛みはほどんどない)、間質液と呼ばれる体液のグルコース濃度を測定することで、血糖値を推定するのである。数分ごとに自動で測定され、24時間の値が曲線として描かれるのである。リーダー端末やアプリをダウンロードしたスマートフォンをセンサー付近にかざすだけで、その都度、測定もできるすぐれものなのである。
筆者も実験体として参加する中で、毎日の食べ物や行動、心の状態が、ある一連の規則によって血糖値に影響しているという気づきを得たという。
そして、心身ともにベストな状態でいるためには、血糖値の大きなスパイクや急降下を避けなければならないことが分かったのだという。
CGMを用いて日々の食事を記録したり、インスタグラムで発信し、フォロワーとのコミュニティでフォロワーが自身の結果を送ってくれるようになると、グルコース(ブドウ糖)はまさに、あらゆることに関係しているとわかったという。
血糖値スパイクって何?
健やかな毎日は血糖値のコントロールから始まるのである。
自分をある目的地に向かう飛行機を運転するパイロットだと想像してみよう。
操縦室に座る自分の目の前には、ずらりと機器が並んでいる。
その中でいちばん手応えが感じられ、即座に影響し、それをコントロールできれば、たくさんのものが正常になっていくものこそ、血糖値なのである。
血糖値のコントロールが出来ていないということは、飛行機の機体が横揺れや縦揺れ、横転をして、しまいには、地上に向けて墜落もしかねないことを示唆しているのであるという。
飛行機を正常に航行するためには、血糖値曲線を平坦にしなければならないのである。
そもそも、「血糖値スパイク」とは何か?
血糖値スパイクとは、食後にグルコース濃度が急激に上下することであ
本書では、食後に体内のグルコースが30mg/dL以上増えた場合に、「血糖値スパイク」が起きていると定義している。
アメリカ糖尿病学会(ADA)によれば、「空腹時血糖値」(起床してすぐ、朝食前に測るグルコース濃度のこと)が60~99mg/dLなら「正常」、100~125mg/dLなら前糖尿病、126mg/dL以上は糖尿病であることを示している。
しかし、健康診断などで、空腹時血糖値が「最適」であっても、毎日、食べたもので「血糖値スパイク」が起きているかもしれないのである。
そして、その血糖値スパイクによって生じる変化が体にとってはもっとも問題なのである。
この血糖値スパイクの波を小さくし、減らしていく、つまり血糖変動を減らし、出来るだけ平坦にするほど、健康になれるのである。
じゃあ、そもそも血糖値スパイクを起こすとなぜいけないのか?
血糖値スパイクを起こすということは、体の中のグルコースの需要と供給が合っていないということである。
要は体の中のグルコースが供給過多でだぶついているのである。
それにより、「フリーラジカル」という物質が放出される。
そのフリーラジカルの量が増えすぎてしまうことにより、
体が「酸化ストレス」にさらされるのである。
そして、酸化ストレスは心臓病や、2型糖尿病、認知低下、老化の原因ともなるという。
次に血糖値スパイクが体に及ぼす影響として、「糖化」と呼ばれるものがある。
糖化とは、言い換えれば、「体の焦げ」である。
つまりは、「老化」していくということである。
人間の体は、生まれた瞬間から、ゆっくりとではあるが、焦げていっている。
そして、グルコースをたくさん体に与えるほど、糖化が頻繁に起こるのである。
糖化=焦げ=老化
トースターでこんがりと焼かれていくパンを想像してみるとわかりやすい。
焼いたパンをもとに戻すことができないように。人間の体も糖化すると、いつまでも損傷したままなのである。
過剰なフリーラジカル、酸化ストレス、そして糖化が合わさると、体内に慢性的な「炎症」を引き起こす。
この慢性炎症が、脳卒中、慢性呼吸器疾患、心臓病、肝臓病、肥満、糖尿病などといった、ありとあらゆる症状や疾患の原因となりうるのである。
世界保健機関は、炎症が原因の病気を「人間の健康に対する最大の脅威」と呼んでいる。
世界中で5人に3人が、炎症が原因の病気で死亡しているのだという。
最後に血糖値スパイクが悪い原因の3つ目であるが、
それはインスリンによる脂肪の増加である。
血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが体内に送り出される。
インスリンの重要な目的は、余分なグルコースを体内の貯蔵庫にしまいこんで、血流に入るのを防ぎ、体がダメージを受けないように守ることである。
そもそも、インスリンがなければ、我々は死んでしまうのである。
インスリンにより、余分なグルコースをしまいこむ貯蔵庫は3つある。
肝臓、筋肉、脂肪である。
インスリンがグルコースを肝臓と筋肉に蓄えられるだけ蓄えると、それを超えたグルコースは脂肪に代わり、貯蔵脂肪となる。
これが体重増加の原因の一つなのである。
本来、インスリンにより脂肪がつくということは、体が受ける酸化ストレスや糖化、炎症から守ろうとしてくれてる作用であり、それに感謝すべきであるのであるが、長期的には、高いインスリン値が慢性化すると、それ自体が悪影響をもたらしてしまうのである。
まとめると、血糖値スパイクが悪いのは、
フリーラジカルによる酸化ストレス、糖化、炎症、インスリン過剰である。
これが長期的に見て、ありとあらゆる慢性病につながるのである。
これまで、血糖値スパイクが体に悪い影響をどのように及ぼすか話してきたが、
実は、血糖値スパイクよりもたちが悪いスパイクが存在するという。
それが、
「果糖スパイク」
甘い菓子や菓子パン、ケーキ、清涼飲料水などの中には、砂糖がたくさん入っている。
この砂糖はショ糖で出来ている。
ショ糖とは、すなわち、グルコースと果糖に分解される。
この果糖によって引き起こされるのが「果糖スパイク」である。
この果糖スパイク残念ながら、持続血糖測定器では検知できないのである。
果糖があると、グルコースだけのときよりも酸化ストレスが増加する。
そして、グルコースよりも10倍も速く物質を糖化させ、はるかに大きなダメージを与えるという。
極めつけは、果糖はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えることができないため、直に脂肪として蓄えられてしまうのである。
果糖からつくられた脂肪は、肝臓内に蓄積して非アルコール性脂肪性肝疾患を引き起こしたり、体重の増加、「悪玉」コレステロール(LDL)を増やし、心臓病のリスクを高めるといった影響を及ぼすのである。
例えば、ここに100カロリー分の白米とケーキがあったとする。
白米はでんぷん質でできており、血糖値スパイクを引き起こす。
そして、ケーキはショ糖、つまり、グルコースと果糖でできており、こちらも血糖値スパイクを引き起こす。
加えて、その裏では、果糖スパイクも引き起こすのであるから、こちらのほうがたちが悪いのである。
カロリーが同じでも分子が違うだけで、体に及ぼす影響は全然違うのである。
同じスパイクを起こすのでも、甘い食品(果糖を含むもの)より、体がよろこぶ甘い食品(果糖を含まないもの)のほうがいいのである。
ちなみに、なぜ我々はこんなにも、甘いものが好きなのか?
それはドーパミンによるものである。
グルコースや砂糖、果糖といったものには、甘みがあり、これを感じると脳からドーパミンという化学物質が溢れでるのである。
これは、セックスやテレビゲーム、SNS、飲酒や喫煙、違法ドラッグを使用するときにも出るという。
しかも、健康を損なってしまうとわかっていても、飽き足りることが決してないという。
血糖値スパイクを起こさずに好きなものを食べるには?
いよいよ、テクニック編に突入していく。
本書では、10のテクニックがあるが、その中から数点をピックアップして展開していく。
まず第一に、
「正しい順番で食べよう」
である。
わたしたちは、どんなものを食べるのが体にとっていいのか、逆に何が悪いのかに注目しがちであるが、実は、どのように食べるかということが血糖値曲線に大きな影響を及ぼすということに考えを巡らせたことはあるだろうか?
2015年のコーネル大学の非常に画期的な論文で、
デンプン、食物繊維、糖、タンパク質、脂肪を、正しい順番で食べると、全般的に血糖値スパイクが73%も減り、インスリンスパイクも48%減ったという。
研究によれば、その効果は、糖尿病患者の血糖値スパイクを減らすために処方される糖尿病薬に匹敵するという。
では、その正しい順番とはどのようなものだろうか?
食物繊維→タンパク質と脂肪→デンプンと糖
わたしたちの消化管をキッチンのシンクとその下につながる排水管に例えて考えてみよう。
まず、最初にデンプンや糖などの炭水化物を食べると、なんの妨げもなくシンクを通過して、排水管に流れ込む。そうなると、急激に大きな血糖値スパイクが起こるのである。
正しい順番に従い、まず、野菜を食べ、次に肉や魚などからのタンパク質や脂肪を取り、最後に炭水化物を食べると、シンクから排水管に食物がゆっくりと流れることになり、血糖値曲線を平坦にするのに役立つのである。
つまりは、ほかのものを全部食べた後で、炭水化物を食べるのがベストなのである。
次のテクニックは、
「好きな糖を食べよう(どれも同じ)」
である。
筆者はこう提案する。
現代において、食生活から完全に砂糖を除くのは無理であると。
しかし、それでもかまわないと開きなおってしまうのである。
必死で砂糖を拒んだ所で、人間の意志力には限界があるから、いずれその意志力は砂糖の力で容易に突破されてしまう。
それなので、いつ食べるべきかをよく考えて、適度なら量ならOKと自分に許して、取り入れてしまえということである。
生きるために砂糖を食べる必要はないし、また、エネルギーを得るためにも砂糖は関係ないが、お楽しみ程度に食べるものと割り切って、どんな砂糖でも好きなものをほどほどに食べようと筆者はいう。
砂糖とハチミツだったら、ハチミツのほうが体には良さそうとか、アガベシロップやブラウンシュガー、てんさい糖、ココナッツシュガー、メープルシロップなども砂糖より健康的なのではないかと考える方もいると思う。
しかし、分子レベルで考えると、結局はどれも、グルコース分子と果糖分子でできており、どれもなんの違いはないのである。
どれも体内で血糖値スパイクと果糖スパイクを引き起こすのに変わりはない。
例えば、アガベシロップにいたっては、食品ごとの血糖値の上昇度合いを表す数値である血糖指数(GI)が低いから、砂糖より体によいとして、糖尿病患者や妊娠糖尿病の女性に勧められることがあるそうであるが、それはただ、アガベシロップがふつうの砂糖と比べて、果糖がグルコースより多いせいである。
それはつまり、血糖値スパイクは小さいが、果糖スパイクは大きいということであり、これまで見てきた果糖スパイクの害を鑑みると、砂糖よりもたちが悪いのである。
どの砂糖も結局は大差ないのだから、自分のお気に入りの砂糖を、本書のテクニックを使って、うまく生活に取り入れてほどほどに付き合っていこうということである。
次のテクニックは、
「食べる前に酢」
酢に含まれる酢酸により、唾液内のα-アミラーゼが一時的に不活性化し、それにより、糖やデンプンがゆっくりとグルコースに変わる。それにより血糖値曲線が平坦になるのである。
また、酢酸は血流に入ると、筋肉に入り込む。そうなると、普段より速くグリコーゲンを作るように筋肉を促し、グルコースがより効果的に摂り込まれるのである。
これらの効果から、血糖値スパイクが減少し、また、インスリンの放出量も減るのである。
結果、血糖値曲線がなめらかな線を描くのである。
お酢といっても多数あるが、摂取方法として勧められているのが、飲みやすいということで、リンゴ酢である。
しかし、どの酢も血糖値に対する効果は同じなので、お好みの酢を選ぼう。
まず、コップ1杯の水に、大さじ1の酢を入れて、食前に飲むということである。または、サラダに使うドレッシングに酢を加えるというのもアリである。
どちらも、食前に摂り入れることで、血糖値曲線を平坦にすることに一役買うのである。
最後のテクニックとして、
「食べたら体を動かそう」
散歩でも、腕立て伏せやスクワット、腹筋、ウエイトリフティングなど、なんでもかまわないから運動をすることはエネルギーがたくさん必要となる。そして、筋肉が収縮するたびに、グルコース分子が燃やされる。
普段は、筋肉はグルコースをとりこむのにインスリンが必要であるが、筋肉が収縮しているときは、インスリンがなくてもグルコースをとりこめるという。
そこで、運動により筋肉が何度も収縮し、インスリンを使わずにとりこむグルコースが多いほど、血糖値スパイクは小さくなり、残ったグルコースを処理するためにすい臓から送られるインスリンの量も減るのである。
理想は食後70分以内に運動を行うことだという。
70分とはスパイクが頂点に達するころなので、その前に運動によって筋肉を使うことで、血糖値曲線とインスリン曲線を平坦にすることが可能になるのである。
これらから導き出される「最高の組み合わせ」がこれである。
・正しい順番で食べる
・糖とデンプンを酢と運動ではさみ込む
自分も本書を読み、持続血糖測定機に興味が出たので、実際にネットで購入し、使用を開始している。そして、本書にあるテクニックを様々な食材ごとに実際に使っている過程にある。
まだ、使用開始間もないため、データが少ないが、今後、同一のものを食べ、テクニックを使わないパターンと使うパターンで血糖値曲線がどう違ってくるのか、それにより自分の体と心にどのような変化が訪れるのかを楽しみにしていきたい。
血糖値コントロールは健康シーンにおいて、日本でもひとつのトレンドになってきているように感じる。
このブログを読んで、興味が沸いた方は本書の一読をおススメする。
そして、本書を読んで、血糖値コントロールに興味が沸いた人は是非、一度、持続血糖測定器を使用してみて、自分の体から発せられてくるメッセージを受け取ってみてはどうだろうか。
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