WELLNESS INVESTMENT CLUBのtoshiです。
人間は誰でも、体の中に百人の名医を持っている
ヒポクラテス
食べ物で治せない病気は、医者でも治せない
これは、紀元前400年頃に生き、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの箴言である。
3分で世界の見え方が変わる。
現代は見えざる格差が着実に拡がっている時代であるという。
そして、その見えざる格差とは?
「健康格差」
である。
そして、「健康上流」に位置するためには、健康リテラシーを高め、日々の習慣に落とし込む必要があるのである。
そんな健康格差社会で生き抜く処方箋となる本をご紹介する。
それでは、本日のthree minutes investmentはこちら。
長友佑都さんの『長友佑都の食事革命』である。
筆者はご存知の通り、日本を代表するサッカー選手、ヨーロッパでもプレイするスーパースターである。
そんな筆者でも、年齢を重ねていくにつれて、怪我も増え、パフォーマンスの衰えを実感したという。
そこで、変革に取り組んだのが、
「食」である。
自分自身のカラダを実験台にして、さまざまな食事を試しては丹念に観察データを取っていったという。
そのうちに、確実にパフォーマンスが上がってくるにつけ、
これはまさに、食の持つ力を強く実感したという。
食事による心身の変化というのは、アスリートのみならず、ビジネスパーソンや体型を気にしてダイエットに励む女性、または子育て真っ只中の親世代の人たちなど、万人にひとしく大事である。
筆者はそうした人たちがひとりでも多く、いい食事で幸せになってほしいとの切なる願いで本書を執筆したという。
本書の企画が生まれるまで、筆者は自分の食事内容をプロの栄養士に見てもらった経験は一度もなかったという。
本書がきっかけで、数々のトップアスリートの栄養指導を行ってきた管理栄養士の石川三知さんと出会うこととなり、まず普段のありのままの食事を伝えたところ、開口一番に、
「このままじゃダメです」
という厳しいひと言を受けたいう。
また、
「食べ物は食べ物だけでは存在しない。何時に食事をして、どうカラダを動かすかによって、そのときに必要な食事の内容は変わってくる」
というアドバイスも受けたという。
そこで気づかされたのが、これまでの食事が「武器になっていない」ということ。
いかに自分が漫然と食事をしてきたのかを実感したという。
そこで、食を武器にするためにもっと学ばなければという気持ちにスイッチが入ったという。
そこであることを試してみることにしたという。
白い砂糖を断つ
精製された砂糖は、体に必須の栄養素をほとんど含まない空っぽのカロリーと呼ばれており、それ以上に恐ろしいのは、分解や吸収のスピードが速く、血糖を容易に上げるという。
すると、それに反応して、インスリンが出て血糖値を下げようとする。この血糖値が一気に上がって、一気に下がるというのは、カラダにとっては最悪のことなのである。
そして、砂糖を絶ってから1-2ヶ月もしてくると、カラダに変化が訪れてきたという。
疲労を感じにくくなり、体力に余裕ができたような感覚を持ち、カラダが軽くなり、キレもいい。素直に「調子がいい」と感じるようになったという。加えて、「脳が変わった」という実感もあったという。これまでと比べて、集中力が全然違ってきたというのである。
食材の数に注目する
ある日、筆者の食事内容を見た管理栄養士の石川三知さんにこんな指摘を受けたという。
「食材と栄養素はリンクしている。食材の種類を増やすと、それに比例して栄養素を補給することができる。現時点での食事で圧倒的に不足しているのが、きのこ類、海藻類、豆類、種実類など。これらを積極的に摂ることで不足しがちな栄養を補充することができる」
栄養素はどれかひとつを多く摂るのではなく、より多くの種類を摂ることが重要である。ひとつひとつの栄養素は網目のように繋がって、互いの働きを助ける役割を果たすという。
タンパク質補給を考える
次はアスリートの命題といってもよい、タンパク質の補給について。
タンパク質を構成しているのは、アミノ酸である。
その構成要素は20種類あり、9種類は体内で合成することができない。
この9種類のアミノ酸を、「必須アミノ酸」という。
必須アミノ酸は、基本的には食事から摂るしか方法はないのである。
筆者はアスリートゆえに一般人と比較すると、タンパク質の摂取は単純に考えると、倍くらいを目指しているという。
そして、多種多様な栄養素を賄うために、動物性タンパク質を1ー2種類と植物性の1種類を組み合わせて食べるスタイルに現在は落ち着いているという。
その構成比率として、肉と魚の比率は4:6といったところである。
野菜
次に野菜である。
3大栄養素の糖質、脂質、タンパク質は野菜に含まれるビタミンがないと効率的に使われずに余ってしまうという。
さらに、野菜に豊富に含まれる食物繊維は、体内の余分な脂質を排出してくれる大事な役割も果たしてくれるのである。
おすすめは、ブロッコリーや芽キャベツなどのアブラナ科の野菜だという。
これらは、抗酸化作用が高く、消化吸収の負担も少ないという。
また、アスパラガスもおすすめであるという。
アスパラガスは、エネルギー代謝に関係するアスパラギン酸をはじめ、疲労やストレス対策、赤血球の増加に関わる栄養素が豊富にあるのである。
野菜の摂り方として、また参考にしたいのが、「ベジブロス」という野菜の出汁を使う方法である。
ベジブロスの材料は、野菜の種や皮、ヘタなど、普通は捨ててしまうような、いわゆる「野菜くず」である。
ここに実は抗酸化物質をはじめとする野菜特有の栄養が豊富に含まれているという。
作り方は至極、簡単。
材料はとくにこれでなければならないという決まりはなく、コツは種類を問わずに5種類以上の野菜くずを鍋に入れて、酒と一緒に煮込んで濾すだけであるという。
この出汁がどんな料理にでも応用できる優れものである。
糖質制限食
2016年、ロシアワールドカップへの挑戦の佳境の時期に食事革命の「最大の肝」ともいえる取り組みを始めたという。
それは、
「糖質制限」
人類700万年の歴史の中で、穀類を食べられるようになったのは、わずか1万年前であるという。
それまで、人は糖質よりも脂質から分解される脂肪酸とケトン体をエネルギー源としていたと考えられている。
エネルギー効率から考えると、脂質のほうがいいのである。
そこで、糖質・グルコース中心のエネルギー回路から、脂肪酸・ケトン体エネルギー回路にシフトするために糖質制限の食事を取り入れていったという。
始めて間もなくは、とてもいい感触を得ていたという。
しかし、極端ともいえる糖質制限を行っていくなかで、たまにエネルギー不足を感じるようになっていったという。
そんな折にSNSを通じて、イタリア料理のシェフである加藤超也氏から、一通のダイレクトメッセージを受け取ることになるのである。
彼は、筆者がSNSにアップしていた食事内容を見て、
「糖質制限をされているようですが、エネルギー不足に陥っていないでしょうか?」
と、まさに図星をつくコメントを送ってきたという。
こうしたタイミングでの筆者と加藤氏との出会いは運命的であった。
そこで紆余曲折、専属シェフとしてイタリアに来てもらうことになったのだという。
厳格な糖質制限を行うと、アスリートの場合、内臓脂肪や体脂肪が少ないので、エネルギーの材料がなくなり、筋肉が分解されてしまうことにつながるという。
そこで、加藤シェフと相談し、カラダに必要な糖質の摂取を必要エネルギー量と相談しながら摂取するようにシフトチェンジしたという。
こうした食事スタイルは、
「セミケトン食」
と呼ばれている。
加藤シェフとの出会いで食事革命に新たな局面が開けたのである。
主食を玄米に替える
白米は確かに美味しい。
どんなおかずとも相性がいいし、汎用性もある。
しかし、外皮や胚芽を取り去った白米は、残念ながら、栄養という意味ではあまり優秀とはいえないのである。
そのことを知り、主食を白米から玄米に切り替えることにしたという。
白米に精米される前の玄米にはビタミンB群やマグネシウム、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれているのである。
ぼそぼそしていたりして、どうしても受けつけないという場合もあると思う。
そういった場合は、胚芽米や分づき米(玄米と白米の中間、三分づき、五分づき、七分づきなどがある)でもいいという。
米だけでなく、パンならライ麦パン、麺なら全粒粉タイプ、シリアルならオールブランというように、できるだけ精製された白いものでなく、茶色いものを選ぶことがポイントである。
食べる順番を考える
短時間の食事では、血糖値が一気に跳ね上がり、その後、急激に下がるというグルコーススパイクが起きやすい。
これを繰り返すと、スタミナ切れを起こしやすい体質になってしまうという。
血糖値の安定化を図るためには、
スープ→サラダ→前菜→タンパク質→炭水化物
といった具合に、炭水化物の前に野菜やタンパク質を摂取しておくことで、糖の吸収を抑えて、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるのである。
基本的に消化吸収のプロセスを自分の意思でコントロールすることはできない。
しかし、口の中で咀嚼するという作業は唯一、自分でコントロールできる部分となることから、それをないがしろにはせずに、ゆっくり時間をかけて咀嚼すると、十分な唾液が出て、それに連動するように胃液、膵液、胆汁などが分泌され、消化活動が速やかに行われるようになる。
現代は忙しいからこそ、その消化吸収プロセスの第一歩である、咀嚼をもっと大事にしたいところである。
間食で摂りにくい栄養素を補給
筆者は以前は間食というと、クッキーやデニッシュなどを口にしていたという。
しかし、砂糖を断つと決めてからは、こういったものは論外になった。
おすすめは、カカオ成分が70%以上のダークチョコレートやアーモンドなどのナッツ類だという。
こういったものには、空腹をやりすごすこと以外に、ポリフェノールや鉄分といった重要な栄養素があるという。
「間食」=「おやつ」 ではない。
空腹なときこそ、普段摂りにくい栄養素を摂るチャンスと捉えるのである。
1日1杯の赤ワインを飲む
筆者はもともと、日本でプレーしている時は、それほどアルコールを口にしてこなかったそうである。
しかし、イタリアに渡ってから、ある1杯のワインを勧められ、そのあまりの美味しさから、日々の体調と相談しながら、夕食時に1~2杯のワインを飲むようになったという。
赤ワインにはポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用が期待できる。
他にも血行促進効果、血中コレステロールの低下などの効能も期待できるという。
ワインを飲む時間は楽しくもあり、ホッとできるひとときで、精神面でのリラックスにもつながっているという。
ものを食べるという行為は、栄養素を摂ることだけが目的ではない。
その時の気分に合わせて、色や香りや食感でテンションを上げたり、逆にリラックスすることも食事から得られる恩恵なのだという。
日本にいた頃は、好きなものを美味しく食べられればいいという感覚であったが、イタリアに渡り、管理栄養士の石川三知さんや加藤シェフとの出会いで、食への志向性が180度変わったという。
まさしく、革命と言ってもいいくらいに。
食事を意識するようになってからの一番の変化は、食材の栄養素についての意識の向け方にあるという。
「なぜ、これを食べる必要があるのか?」
「それがどのようにコンディションやパフォーマンスに左右するのか?」
そうしたことを理解した上で取り入れるようになったという。
その結果、それまで食べる機会の少なかったキノコや海藻、豆類などからは不足しがちなビタミンやミネラルが効率的に摂れ、タンパク質は1種類でなく複数の食材から摂ることで、必須アミノ酸をバランスよく補給できる。
糖質補給のタイミングや量を調整することで必要なエネルギーを補いながら、脂肪を燃やしやすいエネルギー回路を活性化する。
オメガ3系の油を取り入れて、アレルギーや炎症の予防効果に期待するなどの多くの革命が起きたという。
そうしたさまざまな試みを実行していくことで、思考やカラダがすっきりとクリアになり、アレルギー症状が出なくなるなどといった、目に見える変化があったのである。
食事に関しては、あれもこれも一度に革命を起こしたので、何が直接的な原因かはわからないという。
しかし、これまで当たり前だと思っていた食事の問題点をひとつひとつ改善し、より効率的な栄養補給に努めたことが、いい結果に繋がったことは間違いないだろうと確信しているという。
このブログを読んで、興味が沸いた方は、是非、一読をおススメする。
あなたの中でも、きっと、「食事革命」が起こるはずである。
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