突撃の男性育休突入

いざ、育休へ

 本来なら育休に入る前にしっかりと下調べをしとけよっていう話ではあるのだが、今さらながら、必死になって調べてみた次第である。
いざ、育児休業が開始したのが、2023年の11月1日からであり、現在、育休に入ってからもう少しで約1ヶ月が経とうかという時期である。
 日々、慣れない家事・育児に参画しており、思いのほか、時間があっという間に経ってしまい、いまだに自分なりのリズムが作れない…、それは当然であろうか、新生児のペースに合わせなければいけない訳だし。それに上の子供もまだまだ手のかかる時期ゆえ…。
 なんとか、子どものおむつ交換、母乳の補助的な役割としてミルクを与えたり、上の子どもの保育園の送迎、買い物、掃除、食事の準備、etc…と、目まぐるしい家事・育児のマルチタスクを妻から教えてもらいながら、若干、育休を取った事を後悔しないでもなく、日々、なんとかこうにか慣れない中、やっているのである。なんでも、出産後の母体は、全治2ヶ月の交通事故被害者と同じだそうな、そんな母体にむち打ち、出産後から育児をしている女性を改めて、畏敬の念で見れるような心境の変化も、育休を取ったことならではないかと思う。

恐るべし、AmazonのKindle Unlimited

 慣れない日々の中で、なんとか隙間時間を見つけて、男性育休とはなんぞやと、自分が置かれている状況を俯瞰的に見るために情報収集が必須である。
 のんびりと本屋にもこの時期は行けないが、改めて便利な世の中である。いやー、AmazonのKindle Unlimited、感服致します。月額費用980円足らずで、提供する書籍読み放題である。男性の育休関連の書籍なんて、ニッチゆえに大した冊数はないんだろうなと高を括っていたが、いやいや、侮ってはならずで、思いのほか、あったね。これが、大型書店に行って、男性育休と名のつく書籍を片っ端から購入していったらと考えたら、コスパ、タイパは計り知れないものである。
とりあえず、検索で引っかかってくるものを片っ端からライブラリに入れ、約1週間ほど、ひたすらに細切れな隙間時間を利用して、斜め読みすること、その数は約19冊にのぼる。家から一歩も出ずして、瞬間的には男性育休について、ちょっとした博識になれたような気がする。ひたすらに読むなかで、制度についての概要はだいたい把握できてきて、先輩がたの成功例や失敗例も多大に学ばせて頂くこともできた。その過程で、自分の中で育休を取るということに対するマインドセットが出来上がってきているように感じる。

イクメンと言う勿れ

 制度の詳細については、厚生労働省が出している「イクメンプロジェクト」というサイトにすべて網羅されているので、ここで一から制度についてタラタラと語るよりもそちらに譲ったほうが得策である。
 詳細を知りたい方はそちらのサイトでリーフレットをご覧頂けるので、知りたい時はその都度、そのリーフレットを読めば、問題は解決できるはずである。
しかし、このイクメンという言葉には前々から何やらひっかかるものがあるので、どうにかならないものかと個人的に思っていたが、そう思っていたのは自分だけではなかったようである。様々なところで否定的な意見が散見された。
 そもそも、男性が育児をすることが当たり前の社会では、「イクメン」という言葉は存在しないそうである。
 例えば、欧州、特にスウェーデンでは男性の9割が育休を取得し、育児に携わることが当然のこととして認識されている。
 また、家事・育児をするのが当然の事として考えられている女性にもそういったネーミングは見られない。
 「イクメン」という言葉が存在すること自体が、男性が育児をすることが当然ではないことであると社会的に認めていることではないのか?
 現在、日本では「イクメン」という言葉が日常的に使われているが、それは男性の育児参加が当たり前ではなく特別感のあるもののように扱っている事の裏返しなのではないだろうか?
 日本が社会的に欧州などと比較すると、まだ男性が育休を取り、家事・育児をする事に対してリテラシーが低く、また、そもそものジェンダーバイアスが強く、「男らしさ」や「女らしさ」といった観念を基に男女の役割を固定的に考えることに囚われているということなのかもしれない。
 ちなみに、「男性育休白書2023」によると、2023年度の男性の育児休業取得率は24.4%%となっている。育休取得日数は平均23.4日である。育休取得率は5年間で約2.5倍(2019年9.6%→2023年24.4%)、育休取得日数は約10倍(2019年2.4日→2023年23.4日)の伸びを示している。
 厚生労働省はこの数値を2025年までに50%にしていきたいと発表している。この数値が上がってくると比例して、徐々に「イクメン」という言葉が死語にあることを期待する。
 数値的に着実に伸びているといえども、まだまだ、取りたくても取れないのが巷の現状ではないかと思われる。
 マイナビニュースによる統計によると、「男性育休」を取得しなかった理由として、
1位

職場の理解がなかった

2位

収入を減らしたくなかった

3位

必要性を感じなかった

4位

取得できることをしらなかった

5位

周囲から反対された

という結果になっている。
 確かに、実感として男性が育休を取ることに対する周囲の意識は自分が取ってみた感覚としては、全くと言っていいほど薄かった。4人に1人が取得しているという巷の数字の割にはという感じの反応である。そもそも、「男性が育休を取って、家で何するの?」というレベルの話である。
 2位の収入を減らしたくないという理由は痛いほど理解できる。社会保険料が控除されるのを加味すると、実質の手取りは半年間は約8割程度は確保できるとはいえ、減るものは減るのである。その心理的負担は計り知れないものがあり、二の足を踏むのは当然であると思う。
 行動経済学にプロスペクト理論というものがあり、その理論によると、人は同じ金額を得る喜びよりも失う苦痛のほうが2倍以上も大きくなるそうである。
 現在の育児取得率から推測するに、約4人に1人…、まだまだ、男性育休に関しては取るほうが稀であるという認識があるように思える。
 そのため、今現在、育休を取った経験がある、もしくは現在進行形で取得中である男性は、いわゆる「育休パイオニア世代」であるという認識を持っていいと思う。このパイオニア世代が育休はこんなに素晴らしいものなのだという事を体感し、その実体験を基にポジティブなフィードバックを社会に提示できていないあのであれば、次にうまくバトンをつなげることができない。
 これから、育休を取得される方々の背中をうまく、後押しができるように、我々、育休取得者は、「育休時のアウトカム」を広く、社会に伝えていく努力が必要になる。
 数字上では伸びを示していても、世間の評価としては、形の上で取っているだけという「取るだけ育休」なるものも存在しており、現在は、男性の育休取得のイメージにおける大きな転換点であり、これからの一人一人の行動如何でイメージがプラスにもなりうるし、マイナスにも転びうるである。
 基本に立ち返ってみると、そもそも、男性が育休を取るのに最も重要なことは、出産後の妻の身体を守ること、そして、産後うつから守るということであるという。
 PIAZZA(株)が2020年10月に実施した「子育て中の孤立や孤独に関する調査」(有効回答数:1067)によると、子育て中の孤立や孤独の経験について「よく感じる」と「ときどき感じる」の合計は女性で74%であり、また、子供が何歳頃に孤立や孤独を経験したかについては、第一子が0歳の時が最も多く、第二子も同様であるという結果が出ている。
 また、「子育て中の孤立や孤独」を感じる要因として最も多いのが「子どもと二人きりでいる」で61.2%、逆に「子育て中の孤立や孤独」を感じない要因として最も多いのが「パートナーが協力的」で68.7%という結果になっている。産後直後は「Me time」がほとんどゼロになり、その後、徐々に細切れの時間を捻出できるようになるものの、思ったように確保できなかったりするという。
 ちなみに「Me time」とは自分がリラックスするため、楽しむため、くつろぐための時間というニュアンスがある。
 この産後の失われた「Me time」を十分に確保するための手段がパパママ同時育休である。
最初はバタバタしていて、そんな余裕などないかもれしないが、日々のマルチタスクを2人でこなしていくなかで、いつの間にか役割分担のようなものが形成されていくような気がする。その中で、夫婦の1日のそれぞれの活動を記録して見える化してみるのもいい手立てなのではないかと思う。そして、「Me time」がどれくらいあるか、どこでそれぞれ取れているかを記録してみる。その過程で夫婦に会話も発生し、協力していく中で絆も深まっていくという意見が読んだ本の中でちらほらと聞かれた。
 ワンオペ育児のマルチタスクでイライラしてしまい、そんなイライラが子どもに伝わって泣き出すという負のスパイラルから抜け出すためにも「Me time」は多いに越したことはなく、この点においてもパパママ同時育休の大きなメリットがあるということを様々な書籍から学んだ。
 まだまだ、男性育休の先人から得た知恵や心構えについては共有していきたいことがたくさんあるので、次回でもっと、披露していきたいと考えている。

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