3分要約・甘いもの中毒

Health

WELLNESS INVESTMENT CLUBのTOSHIです。

漫画「ドラゴン桜」において、桜木建二先生は言っている。

「幸せとは……金と健康だよ」
「毎月の収支が赤字にならない安定的な所得があること、怪我や病気をせず心身ともに健康であること、この2つが満たされていれば、人はだいたい幸せを感じられる」

3分で世界の見え方が変わる。
「食」は健康への入り口であり、自分への投資である。
その食に対する認識が変わるだけで、自分をノーリスク・ハイリターンな安定、安心、超優良な投資先へと変貌を遂げることが可能なのである。
それでは、本日のthree minutes investmentはこちら。

宗田哲男医師の『甘いもの中毒』である。

糖質こそ…

糖質の摂り過ぎこそ、私たち日本人の健康を蝕んでいる元凶であると筆者は断言する。

はじめに本書の結論をズバッと、簡潔に述べてしまおう。

糖質の摂取を制限した食事法

これこそ、最も私たちの体に適した健康な食生活なのである。

世界1、2を争う長寿国の日本であるが、じつはほかの長寿国に比べて寝たきりの期間が長く、健康寿命は思いのほか短いのはご存じだろうか?

糖質制限によって、生き生きと元気に過ごしている期間である、「健康寿命」は確実に延びる。
2017年7月に105歳で亡くなった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏は、最晩年まで現役の医師として活動していたという。
そんな氏の食事も低糖質で、肉食中心であったのである。

著者も実のところ、昔は立派な「甘いもの中毒患者」であったと自認しており、「医者の不養生」が災いして、典型的な糖尿病患者のそれであったという。
しかし、糖質制限に出会い、自己で実践していくなかで、内服やインスリン注射を必要とせずに糖尿病を克服し、糖質制限の秘めたる可能性に目覚めたという。
体調だけでなく、生き方そのものまで生き生きと前向きなものに好転したという
現在は70歳を過ぎてもなお、現役バリバリの産婦人科医として働いているという。

ここで一つ質問がある。
角砂糖14個(約55g)を溶かした砂糖水を飲んだときと、ご飯を茶碗1杯(精白米150g)を食べたときには、食後1時間の血糖値はどちらが高くなるだろうか?

正解は、

「砂糖水とご飯の食後1時間の血糖値は、じつはまったく同じ数値になる」

ご飯やパン=米&小麦は、「隠れた砂糖」と呼ぶべきものなのである。 私たちの健康にとって危険な糖質は、むしろ「甘くないもの」にこそ大量に潜んでいる。
ご飯、パン、麺といった、主食とされてきている炭水化物こそ、糖質過多によって血糖値を上げて、深刻な現代病である肥満や糖尿病を引き起こす、いわば元凶なのである。
太る原因は、脂質やタンパク質の摂り過ぎではなく、あくまでも炭水化物に含まれる糖質の摂り過ぎにあると筆者は本書のところどころにおいて、折につけ、断言する。

厚生労働省が示している「日本人の食事摂取基準(2015年版) 」によれば、基準とされる総摂取エネルギーの内訳はタンパク質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%となっている。
これでは、明らかに炭水化物の比率は高すぎる。
その結果が、現在の肥満を生み出しているのではないか、というのが筆者の考えである。

今みたいな交通機関がなく、日本人がよく歩いていた時代には糖質の摂り過ぎ、つまり、糖質過多は気にしなくても大丈夫だったと思う。
例えば、江戸時代の武士たちは、お米をいっぱい食べていたであろう。
けれども、彼らの血糖値は上がらなかったはずであるという。
なぜなら、今よりもはるかに歩いていたから。
江戸時代の旅は、毎日10時間程度を歩くのが普通だったそうである。
それくらい、昔は今よりも活動量が多かったのである。
昔より全然、交通機関が発達した現代では、そこまでの糖質量は実は必要とはされていないのである。

それなのに、私たちはなぜ、こんなにもたやすく「甘いもの」の罠にはまり、その虜になってしまうのか?
甘いものの代表は砂糖であるが、米や小麦、芋といった炭水化物の主成分であるでんぷんも、体の中ですぐにブドウ糖(砂糖)となる。
実は、砂糖は脳に強い影響を及ぼして、麻薬のような役割を果たしている。
つまり、甘いものは私たちの意志に関係なく、脳に直接、働きかけて糖質過多になるように誘うことができる物質というわけである。
麻薬と同じように、砂糖や極度に精製された白米や小麦によっても、脳内のドーパミン報酬系が強く刺激され、本人の意思とは無関係に依存症になってしまう危険性が高いのである。

いわゆる麻薬(覚せい剤、コカイン、ヘロイン、LSDなど)を「ハード・ドラッグ」、マリファナやタバコ、アルコールなどを「ソフト・ドラッグ」として、そして同じ分類として、砂糖や白米などを、「マイルド・ドラッグ」と呼んだりすることもあるそうである。

そんなマイルド・ドラッグと呼ばれ、注意を呼びかけられている「甘いもの」の代表である炭水化物は、いつ頃ヒトの主食になったのであろうか?
そして、それは本当に現代人にとって、必要不可欠なものなのか?

ヒトの主食はもともと何なのか?

私たちの祖先である縄文人の集落遺跡の発掘研究によれば、脂質とタンパク質が8割、炭水化物が2割というのが見解であるという。

これは、私たちホモ・サピエンスがアフリカで数百万年暮らしていたときと同じように、肉食を中心とした「低糖質・高脂肪・高タンパク質」という栄養バランスだったのである。

よく、「日本人の主食は米だ。」、「お米は日本人のルーツだ」などと言われ、私たちは昔からお米を食べてきたように思われがちであるが、私たち日本人がお米を腹いっぱい食べられるようになったのは、江戸時代でも明治時代でもなく、第二次世界大戦後のことなのである。
1日3食、白米を腹いっぱい食べるようになってから、まだ60年ほどしか経っていないという。

実は、人類史的に言えば、ヒトは700万年の狩猟採集生活に対して、2万年の農耕生活しか経験していないのである。
炭水化物中心の日本食を単純に長寿食と考えるのは、非常に危険であると筆者は言う。

実は「食の欧米化」に伴って、肉をより多く食べるようになって、脂肪の摂取量が増えたことが平均寿命の延びにつながっているのであるという。

1970年代、東北大学名誉教授だった近藤正ニ氏が著した『日本の長寿村・短命村』という本がベストセラーになったという。
この本は、1930年代半ばから30年以上、全国990の町村で氏が実施した食生活調査にまとめたもので、それによると、「お米をたくさん食べる村のひとたちは短命である」という、はっきりとした結果が出ているのである。

糖質過多はこんなに怖い

糖質過多は老化を促進させる大きな原因になる。
その元凶は、

糖化」と「酸化

糖化とは、いわゆるカラダの「焦げ」。
強い毒性を持つ「AGE」という物質を発生させ、老化を促進するのである。

そして、酸化とは、「さび」のこと。
カラダのなかで起きるエネルギー産生の過程で発生する活性酸素が増えることで、老化が加速するのである。
そして、糖質を摂ったときに分泌されるインスリンには、この活性酸素を過剰に発生させる働きがあるという。

糖質過多による肥満と糖尿病が現代の大きな弊害なのである。

糖尿病は深刻化すると、三大合併症を引き起こす。
怖いのは、自覚症状がなく、気づかぬままに深刻化していく。
その合併症とは、失明に至る「糖尿病性網膜症」、命にかかわる「糖尿病性腎症」、手足の壊疽につながる「糖尿病性神経障害」である。

厚生労働省の2016年時点の推計によれば、糖尿病の有病者+その予備軍は日本で「5-6人に1人」の計算になるという。
およそ50年間で50倍にも増加しているのである。
この増加率はただただ、驚異的である。

糖尿病とは、端的に言えば、血液の中にある糖の量が異常な数値で高止まりしてしまう病気である。

糖質=血糖値を上げる

これは自明の理なので、公式のように暗記して覚えてしまおう。

三大栄養素のうち、タンパク質や脂質ではなく、糖質こそが血糖値を上げる元凶である。
そして、血糖値が上がったときにそれを下げる働きをするのは何か?
そう、「インスリン」である。
インスリンは主に糖質を摂ったときにだけ分泌されるホルモンである。

もうひとつの覚えてもらいたい重要な公式がある。

糖質だけがインスリンを分泌させる食べ物

インスリンが分泌されると、血糖値は下がるが、血液の中にあったブドウ糖がどこかに消えてなくなるという都合が良い事は起こらない。
その糖は、しっかり体内の筋肉や肝臓などに取り込まれ、グリコーゲンや中性脂肪に変わって、蓄えられるのである。

今日の糖尿病の治療は、ご飯などの炭水化物を食べさせ続けて、血糖値が上がる状態にしておいて、薬で血糖値を下げると言うもの。
まさにマッチ・ポンプ(自分で火をつけて、自分で火を消すこと)でしかないという。
糖尿病が悪化するような薬をどんどん使っているとしか思えないと筆者は言う。

数百万年に及ぶヒトの歴史は、餓死しないようにする飢えとの戦いの歴史であり、そのために体も脳もいわば進化してきたのである。
血糖値を下げる作用を持つホルモンがインスリン1つしかないのに対して、血糖値を上げるホルモンは5種類あるということがそれを物語っているのである。

飢えの時代に絶大な効力を持ったインスリンの作用が、食べた糖質を脂肪に変えて体内に蓄えること、そして、脂肪を蓄えた後でも、「もっと食べなさい」と、さらに糖質を摂るように命令することである。
飢えとの戦いに勝つために、食べられるときに食べ、やがてくる飢えに備えて、できるだけエネルギー源を蓄えておこうとする作用がインスリンにはあるのである。

しかし、今日の飽食の時代においては、インスリンは重要性よりも、その弊害の方が顕著に目立ってきているのである。

インスリンは糖化と酸化、この両方を促進させる働きがあるので老化の元凶と言っても良い危険な物質でもあるのである。
カラダにとって、インスリンの分泌は必要であるが、必要最小限を保つほうが長生きできるという。

糖尿病治療の大きな目標は先に述べた合併症の予防にある。
ところが、2015年の慢性透析患者数は32万5000人 そのうち、糖尿病が原因の透析患者の占める割合は、実に38.4%にも及んでいるという。
数字が残る1968年頃から1本調子で増え続けている。

ちなみに、人工透析にかかる医療費は「1人1ヶ月、50万円」と言われている。
そのうち、本人負担は1ヶ月、1万円で残りは国から給付されているのである。
透析患者を減らすことは、国の財政面から見ても、緊喫の課題であるといえそうであるが、一本調子で増え続けているのを見ると、これまでの糖尿病治療が功を奏していない証左といえるのではないだろうか?

ソリューションは、「糖質制限」

糖質制限は、単なるダイエットとか糖尿病治療のための食事法ではなく、「生活習慣病予防=アンチエイジング(抗加齢)」に最も効果的かつ合理的な食事法でもあるのである。

その大きな理由として、 血糖値スパイクを確実に抑えることが出来る点にあるという。
血糖値スパイクとは、糖質過多によって起こる血糖値の乱高下で、これにより起こる多々の弊害や血管の損傷に伴う動脈硬化、糖化&酸化によるカラダへのストレスに対する予防線は、 「血糖値を上げるもの=糖質」を食べなければいいだけ

つまり、「糖質制限」という食事法。

これもひとつの公式として覚えてしまいたい。

糖質制限を肯定する医学論文は、今日まで世界中でたくさん発表されている。
しかし、日本の糖尿病学会はいまだに糖質制限ではなく、カロリー制限の食事療法を推奨し続けているという。

しかし、カロリー制限は効果はあるだろうが、正直続けるのは困難で、再現性が低い方法なのである。
カロリーを減らすためには、どうしても全体の食事量を減らすしかないわけで、「お腹が減って、毎日つらい」と非常に苦しむことになって、結果、断念する人が多い。 しかも、「カロリー制限」には、そもそも何の科学的根拠もないという。
今から100年以上も前に発見された食品が有するカロリーを調べる方法を踏襲しているだけなのである。

筆者は一度、カロリー制限を用いたレシピ通りにつくって、食後の血糖値を測ってみたところ、血糖値がかなり上がってしまうことがわかったという。

今や、世界では続々と脂質よりも糖質の摂取量が増えることで肥満者が増えるという見解を支持する国が増えてきており、「砂糖税」や「ソーダ税」といった病気予防を目的とした施策を導入している国もあるが、日本は完全にそれに乗り遅れている感は否めないのである。

ヒトにとっては、糖質よりも細胞や組織のもとになる脂質・タンパク質のほうが重要なのである。
ヒトの体を構成するために不可欠な「必須栄養素」は、9種類のアミノ酸、3種類の脂肪酸、そして、ビタミン・ミネラル類、この4つだけ。
そこに糖質は含まれていない。

要するに、ヒトは、炭水化物を食べなくても生きていけるけれども、タンパク質や脂肪は食べないと死ぬのである。

ここで、本書の重要なキーワード、

ケトン体

について学んでいこう。
糖質制限についての理解を深める一助になる。

ケトン体が産生されるための条件とは、「インスリンが分泌されていないこと」。
つまり、食べた糖質からエネルギーを産生し終えて、なおかつ余分なブドウ糖を脂肪として蓄え終えた状態になると、ようやく肝臓でケトン体の産生が始まるのである。

シンプルに説明すると、 私たちのカラダに必要なエネルギーには、 「ブドウ糖エネルギー」と「ケトン体エネルギー」 がある。前者は体内に吸収されるブドウ糖を材料に作られるエネルギーであり、後者は体内に吸収された脂肪酸を材料につくられるエネルギー。
そして、私たちのカラダは、ブドウ糖エネルギーのほうを優先して使う。
脂肪酸由来のケトン体エネルギーは、食事からの糖質の摂取がなくなって、インスリンが分泌されなくなったときに初めて使われるようになる。

2016年6月、北海道で1週間ほど行方不明になっていた小学2年生の男の子が見つかって話題になった。
行方不明の間、男の子は水だけ飲んで、何も食べずに過ごしていたというから驚きである。
そんな彼はまさにケトン体エネルギーで生き延びたといえるのである。

そもそも、ヒトはケトン体エネルギーをメイン・エネルギーにしていた時代のほうが、はるかに長いという。

しかし、現代は「糖質過多の時代」。
ブドウ糖エネルギーがメインとなり、 普通に暮らしていれば、起きている間、まったくといっていいほどケトン体エネルギーの出番はないのである。
ケトン体が使われなければ、その材料である脂肪酸は蓄えられる一方となる。
それが、肥満の原因となる。

糖質制限には、非常に厳格なものから緩やかなものまで、さまざまな方法がある。 自分の生活スタイルに合った方法を選ぶことが大切であるという。

何も堅苦しく考える必要はない。
ご飯、パン、麺類といった炭水化物を控えて、脂質とタンパク質をたっぷり食べていれば、自然に糖質制限になる。
比率としては、目安は、

炭水化物2割・脂質4割・タンパク質4割

主食の穀類を減らした分、おかずの量を増やすことは糖質制限を始める際の重要なポイントとなる。
お腹いっぱい食べる」ことが基本ルール。
増やすおかずは、タンパク質と脂質を多く含むものとなる。

脂質やタンパク質が十分に摂取できる今日の日本においては、健康面で果たすべき糖質の役割はもはや終わっているのではないだろうか?
そして、糖質制限こそ、飽食と呼ばれる今日の日本に最も適した食生活ではないだろうか?と筆者は提言する。

糖質制限はある意味、長く主食であった穀類=糖質を否定することになる。
日本人でいえば、白米を否定すること。
それは価値観の大転換となるだろう。
しかし、私たちは歴史的に見ると、もともとは肉食動物。
その意味では、大転換というよりも、本来の食生活に戻るだけと考えたら、自然に腑に落ちるのではないたろうか?

本書を読んで、巷に着実にあふれる低糖質をうたった商品や日々の生活でひしひしと感じる皮膚感覚を鑑みるに、確実に「糖質から脂質へ」という「食のパラダイムシフト」が起こりつつあるなと感じる。
私たちは、幸運にもそんなパラダイムシフトの瞬間を目の当たりに出来る世代ではないのだろうか?

このブログを読んで、興味が沸いた人は、是非、本書の一読をおススメする。
本書で食のリテラシーが高まることを保証する。

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